WordPressで企業サイトを作る際には、そのメリットとデメリットを知りたいという人も多いのではないでしょうか。世界的に有名な大手企業を含め、数多くの会社がWordPressで企業サイトを構築している一方、カバーするべき欠点があるのも事実です。長所と短所をしっかり把握してこそ理想的なサイトの作成と運用が可能となります。この記事では、実際の企業の作成事例を紹介すると共に、WordPressでサイトを構築する際のメリットとデメリットについてご説明します。
目次
企業サイトの作成事例
WordPressでサイトを作成しているのは、個人や中小企業だけではありません。日本中が知っている、あるいは世界に名だたる企業の中にもWordPressでサイトを構築しているケースがたくさんあります。その一部をご紹介しましょう。
・株式会社セイコークロック
https://www.seiko-clock.co.jp/
掛時計や置時計、目覚まし時計などのSEIKO製品を開発・製造・販売しているセイコークロックの企業サイトです。総資本金が100億円を超えるセイコーグループの中核企業でもあります。その企業サイトは爽やかな印象で非常に見やすく、ユーザビリティの高いデザインとなっているのが特徴です。時計会社らしく常に日にちと時刻が表示されている点にオリジナリティとアイデンティティが感じられます。
・株式会社カカクコム
http://corporate.kakaku.com/
日本最大の価格比較サイト『価格.com』を運営している株式会社カカクコムの企業サイトです。サービスを提供するサイトとは完全に分離しているためシンプルなデザインとなっていますが、企業サイトで情報を得たい投資家や取引先、就活生などにとっては非常にわかりやすい設計となっています。
・株式会社クックパッド
https://info.cookpad.com/
料理レシピのコミュニティWEBサイト『クックパッド』を運営している株式会社クックパッドの企業サイトです。こちらもサービスサイトは別にあるためシンプルな設計となっています。とはいえ、手を抜いている印象はなくイメージ画像を上手に活用することで企業の理念や姿勢が伝わるデザインになっています。
【メリット】1.構築・作成が簡単
多くの企業がWordPressを使ってWEBサイトを作成する理由は複数あります。第一に挙げられるのはサイトの構築・構成が簡単である点です。WordPressを使えばHTML、CSS、PHPなどの専門的なコードやプログラミング言語を学ばなくてもサイトを作ることができます。あらかじめ定められたテンプレートに沿って画像やテキストを設置するだけで、プロが構築したようなサイトを完成させることができるでしょう。また、WordPressと言えばブログをイメージする人が多いかもしれませんが、先ほど紹介したような企業サイトも十分作成することができます。プラグインを活用することでオンラインショップ、会員サイト、予約サイトなど高度な機能を持つサイトを構築することも決して難しくありません。もしHTMLやCSSなどの知識があれば、テンプレートを下地として細かなカスタマイズを行うこともできます。
WEBサイトの構築や作成が簡単だという点は、手間を減らせるだけでなくコスト削減にも貢献します。なぜなら、専門知識のある人員を配置したり、業者にサイト作成を外注する費用をかけずに済むからです。現在、WEBサイトはすべての企業が所有していて当然ともいえる状況になっています。しかし、サイトを一から作ろうと考え、社内で専門知識の持つ人員を雇用すれば当然人件費が発生し、外部の業者に発注した場合も数十万円から数百万円もの費用がかかることも珍しくありません。これほどのWEBサイト作成費用を削減でき、別のことへ投資できるようになるのは非常に大きなメリットだと言えます。
【メリット】2.管理・運用が楽
サイトの作成が簡単だということは、その運用・管理も難しくないということです。WordPressはユーザーの使い勝手を高めるため、頻繁に機能のアップデートを行っています。基本的な管理や運用の仕方については管理画面の表示や案内に従えば問題なく行うことができるでしょう。また、WordPressは世界一利用されているWEBサイト作成ツールです。したがって、インターネット上にはたくさんの情報が転がっており、何か困ったときには検索することで解決できます。有志による日本語のコミュニティサイトもあるので、リサーチしても解決できない問題については、こちらのフォーラムページで質問する手立ても有効です。
一方、企業サイトの作成を専門業者や社内の専門家に任せた場合、運営上でも問題が生じることになります。専門業者が構築したサイトの場合、何かを変更したい場合やトラブルシューティングを行う場合もその業者に依頼しなければなりません。つまり、ランニングコストが高くつくことになり、問題発生から対処までのタイムラグも発生してしまうでしょう。社内の人間が作成したとしても、その人しか対処できないようなものであれば不安が残ります。組織として安定的に運用する点から考えれば、高性能な独自構造のサイトよりも、少しの知識で誰でも管理が可能となるWordPressの方がうってつけだと言えるでしょう。
【メリット】3.カスタマイズや機能追加がしやすい
WordPress は既成のWEBサイト作成ツールですが、ユーザーそれぞれの目的に沿ったサイト構築は十分できます。なぜなら、プラグイン機能を活用することによってデザインのカスタマイズや機能の追加を簡単に実現できるからです。プラグインは、WordPressの機能を拡張するソフトウェアのようなもので、数多くのユーザーによって多彩なプラグインが開発され、インターネット上で広く公開されています。世界中で支持されているWordPressならではの強みと言えるでしょう。多くのプラグインが無料で利用でき、WordPressの管理画面から簡単に検索して導入できる点も大きな特長の1つです。
公開されているプラグインの種類は多種多様です。たとえば、SEO効果が高まるようサイトを最適化する、スライドショーを設置する、決済機能をつけてオンラインショップにするなど、さまざまな機能を実装することができます。プラグインを活用することで、企業サイトを運営する上でクリアしておくべき課題の大半に応えることができると言っても過言ではないでしょう。さらに、多くの人が利用しているカスタマイズ機能の場合、世界中の開発者が切磋琢磨して性能を改善し続けるため、よりユーザビリティの高いプラグインを使えるようになります。日本語化されている海外製のプラグインも多いなど、ローカライズが積極的に行われている点も魅力です。
【メリット】4. テーマ(テンプレート)が豊富
WordPressには、企業や有志が作成したデザインテンプレートである「テーマ」が豊富にラインアップされています。テーマにはWEBサイトを構成するデザインなどの内容がワンセットになっているものです。これを活用すれば、たとえデザインセンスに自信がなくても魅力的なサイトを構築することが可能です。また、SEOに最適化されていたり、レスポンシブに対応しておりスマホやタブレットから閲覧しても見やすくなっていたりするなど、本来プログラミングの知識がなければ実現できない機能が標準装備されているテーマも少なくありません。それぞれの機能が最適に統合されていますので、プラグインのように干渉し合って不具合が起こる可能性が少ないのもテーマの強みです。
プラグインと同じく、テーマも実に多種多様なものから選択することができます。華やかなカラーリングが目を引くテーマや、シックで高級感のあるテーマ、カジュアルで万人受けするテーマなど、企業イメージに最適なテーマを見つけることが可能です。ヘアサロン向けなど業種に特化したテーマも公開されています。ビジュアルだけでなく、オンラインショップを作りやすいテーマ、アフィリエイトに効果的なテーマ、コンサルタントの集客に最適なテーマなど、実用性を特長にしているテーマもたくさんあります。ビジュアル面・機能面ともに自社にピッタリなテーマを見つけることも決して難しくないでしょう。
【デメリット】1. セキュリティ
WordPressを利用する上で最も危惧すべきデメリットの1つはセキュリティの脆弱性です。世界で最も利用されているWEBサイト作成ツールであることから、その構造もよく研究されていることになります。つまり、悪質なハッカーやクラッカーにとっては非常に侵入しやすいWEBサイトだと言えるのです。また、多くのサイトがWordPressで構築されているので、一度同じようなプログラムを作ってしまえばより多くのサイトに攻撃を仕掛けることができます。この効率性の高さもWordPressがハッカーの標的となりやすい要因の1つです。
WordPressのセキュリティ面で注意しなければならないものにプラグインも挙げられます。WordPress本体についてはセキュリティ能力を向上させるべく頻繁にアップデートを重ねているため、ユーザーの方でこまめに更新すれば比較的安全と言えるかもしれません。しかし、WordPressのメリットでもあるプラグインは、さまざまな団体や個人が作成しているものであるため、セキュリティ対策が一元的にまとめられているわけではありません。したがって、ハッカーやクラッカーの用意したプラグインをインストールして感染してしまい、サイトが改変されてしまったり、部外秘情報が盗まれてしまったりする事態に発展する可能性も十分あるのです。導入するプラグインは、できる限りメジャーなものを使う、あるいは個人サイトなどから入手しないなど、細心の注意を払って扱うことが大切です。
【デメリット】2.ページ読み込み速度
特に企業サイトの場合、WordPressを使用するとページの読み込み速度が遅くなる可能性があります。どうしても情報量が多くなるため、データを読み込むのに時間がかかってしまうのです。企業サイトはインターネット上の企業の看板とも言えるものですから、できるだけ魅力的に作成する必要があります。そのように考えると、たくさん画像を設置したりプラグインで利便性の高い機能を追加することになるでしょう。これらのデータが非常に負荷となってサイトの表示スピードを下げてしまうのです。当然ユーザーの使い勝手も悪くなってしまい、アクセス数の低下をもたらすことにつながります。
とはいえ、表示スピードを上げる取り組みを行うことでサイトの快適性を向上することは可能です。画像ファイルについては、適切なサイズに縮小して掲載する、変換ソフトを使用して圧縮する、比較的データ量の小さいJPG形式を採用するなどの工夫で情報量を削減することができます。また、プラグインに関しては不要なものはできるだけ有効化しないようにすることが大切です。ページに目次を付けるなど簡単な機能については、少しHTMLを学習するだけで実現できることも少なくありません。重要かつ複雑で手間のかかる機能についてはプラグインを使い、簡単な内容であったり、効果が小さく自己満足で導入しているプラグインについては削減するか手動で構築するといった取捨選択を心がけることで、サイトの利用満足度を上げることができるでしょう。
【デメリット】3.日々の更新とバックアップ
前述したように、WordPressは性能とセキュリティの向上のため頻繁に更新が行われています。しかし、ユーザーの方で更新作業を行わないと反映されません。これはテーマやプラグインも同様です。また、アップデートが必ずしも良い影響をもたらすわけではありません。バージョンによっては、テーマやWordPress本体、あるいは他のプラグインなどとの相性が悪くなり、サイトに不具合を起こしてしまう可能性もあるのです。旧バージョンの方が使い勝手が良かったというケースもあります。
このような事態になっても復旧できるよう、サイトを構成するファイルのバックアップも取っておくことが大切です。ただ、更新は頻繁にありますので、それに合わせてバックアップも何度も取らなければなりません。バックアップを手動で作業を行えば手間になりますし、プラグインを実装すればサイトの処理に負荷がかかります。WordPressは便利なツールですが、安全かつ快適に利用するためには一定の手間と労力を享受する必要もあるのです。
企業サイト制作に適したテーマとは?
それこそ星の数ほどあるWordPressテーマの中で、こちらで提供されているテーマは企業サイトの構築に特化した仕組みとなっています。これから企業サイトを作ろうと思っている、あるいは現在使用しているテーマに不満があり変更を検討しているという場合は、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
企業サイトをWordPressで運営する際にはメリットとデメリットの両方が伴います。長所と短所を理解した上でWordPressを採用するかどうか決めることが大切です。ただ、WordPressにはデメリットに対処できるだけの十分なバックアップ体制や拡張性があります。長所を存分に生かし、短所をしっかりとカバーすることが、大きな恩恵をもたらすWEBサイト運営につながるでしょう。
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