売り上げや集客につながるサイトにするためには、ユーザーの目を引き、商品やサービスのメリットを訴求するのが重要です。しかし、それだけでは成果につながりにくいでしょう。売り手側が伝えたい情報を一方的に発信しても、ユーザーに快く受け入れてもらうことはできません。ユーザーが本当に知りたいこと、求めている情報を提供することが大切なのです。そのために効果的な手法として、ナレッジベースを作る方法があります。この記事では、ナレッジベースを作る際のポイントについて解説します。
目次
そもそもナレッジベースとは何?
ナレッジベースとは、FAQのようなものだと考えるとわかりやすいでしょう。インターネットが普及したことにより、誰もが簡単に情報を収集できるようになりました。もし、商品やサービスについてわからないことがあれば、多くのユーザーが自分で解決しようとします。まず、商品やサービスを提供している企業のサイトで必要な情報を探すのが一般的です。電話やメール、チャットなどを使って企業に直接質問する方法もありますが、面倒だったり、敷居が高かったりして、自身で解決することを望んでいるユーザーも多いのです。
そのため、サイト内にユーザーの疑問や問題を解決できる「よくある質問」や「Q&A」のようなページを設けることが重要になります。もし、ユーザーが購入しようか迷っているときに、解決できない疑問があれば注文するのをためらってしまうでしょう。ユーザーの疑問を解決できないことが、せっかくの販売機会を失ってしまうことにつながるのです。しかし、FAQのような形で情報を提供すれば、ユーザーの疑問を解決できます。サイトのユーザビリティを高めて、スムーズを注文に導くことが可能になるのです。また、ユーザーが自身で疑問を解決できるようになれば、電話での問い合わせ件数を減らして省力化できるというメリットもあります。
ナレッジベースとは例えばこのようなもの
ECサイトなどに設置されるナレッジベースの代表例としては、「よくある質問」や「FAQ」が挙げられます。自社の商品やサービスなどに対して寄せられた質問、ユーザーが抱きやすい疑問をまとめ、それに対する答えや解決策を参照できるようにするものです。ユーザーは自分が疑問に思った点だけでなく、他の疑問と答をみることで商品やサービスに対する理解を深めることができます。
商品やサービスに関する「用語集」もナレッジベースとして多い事例です。商品やサービスの内容によっては、説明するのにどうしても専門用語や耳慣れない片仮名言葉を使わざるを得ないこともあります。しかし、ユーザーがその意味を理解できなければ、商品購入にはつながりにくいでしょう。そのような場合には、用語集のページを用意することでユーザビリティを高めることができます。
家電製品のような商品の場合には、「困ったときは」のような形でよくある故障原因と解決策を紹介するケースも多いですが、これもナレッジベースの一つです。すでに購入したユーザーの疑問に答えることで、購入を検討しているユーザーに安心感を与える効果も期待できるでしょう。また、商品がソフトウェアのような場合には、利用者同士で自由に質問と回答を投稿できる顧客向けの掲示板を用意する方法もあります。掲示板を見ればユーザーがどんな点に疑問を持ち、どう解決しているのかをユーザー目線で知ることができます。
ナレッジベースを作るポイントとは?
ただサイトに「よくある質問」や「FAQ」を設ければ、ナレッジベースができるというものではありません。ユーザー視線で、疑問に感じること、問題になりそうなことを適切にピックアップし、それに答える必要があります。ユーザーが本当に知りたいことに答えられなければ、意味のないナレッジベースになってしまうでしょう。ここでは、効果的なナレッジベースを作るためのポイントを紹介します。
ポイント1:ナレッジベースの目的を明確にする
ナレッジベースを作る際には、目的を明確にするのがポイントです。そのためには、ナレッジベースを利用して疑問点や問題点を解決することで、ユーザーにどんな状態になってほしいのかを考えるのが大切です。たとえば、商品の購入を検討している人とすでに購入した人とでは、疑問に思う点はまったく違ってきます。まず、ユーザーは自社の商品やサービスに対してどんな疑問を持ちやすいのかを把握しましょう。実際にユーザーからの問い合わせを受けている担当者や顧客と接している営業担当者にヒアリングすると、現実に即した疑問点を把握できます。
サイトに寄せられた質問をピックアップするのも効果的な方法です。数の多い質問の内容やユーザーの状況別に質問の傾向を知ることができます。ナレッジベースを利用したユーザーに次にどんな行動を取ってほしいのかも明確にしておきましょう。もし、ナレッジベースで疑問を解決できない場合は、電話で問い合わせしてもらう、チャットで質問してもらうなど、次にどうすればよいかを明示することが大切です。また、注文してもらう、もっと高額な商品の購入を検討してもらう、など次に取ってほしい行動にスムーズに誘導すると成果につながるナレッジベースにできます。
ポイント2:コンテンツを選択し整理する
ユーザーが疑問に感じやすい点をピックアップしたら、それをナレッジベースに掲載するコンテンツとして選択して整理することが大切です。すべての質問と回答をただ並べても効果的なナレッジベースにはなりません。たとえば、一見違うような質問に見えても、結局同じことを知りたがっているというのはよくあることです。同じような内容の疑問は、ひとまとめにしてグルーピングしましょう。そのうえで、各グループの疑問点のなかから、ナレッジベースに掲載するものを絞り込んでいきます。その際に注意したいのが、数が増えすぎないようにすることです。
あまり数が多いと、ユーザーがどれを見たらよいのかわからなくなってしまいます。探すのが面倒になってページを離れてしまうようなことになれば、意味のないナレッジベースになってしまうでしょう。そのため、ユーザーにとって本当に必要とされるコンテンツはどれかということを意識しながら、ナレッジベースに掲載する項目を決めていきます。また、ナレッジベースに掲載する際は、優先順位をつけてカテゴリーごとに表示するのが効果的です。一般的に多い質問や疑問、トラブルを解決するために緊急性の高いコンテンツなどを上位に表示すると、ユーザーにとっても見やすくて使い勝手のよいナレッジベースになります。
ポイント3:適切なデザインの選定
ナレッジベースはデザイン性も重要になります。ユーザーの疑問や問題を解決できるコンテンツが掲載されていても、見にくかったり、必要な情報を見つけにくかったりしたのでは、快適に利用してもらうことができません。ナレッジベースは性質上、どうしてもテキストが中心になりがちです。文字だけが並んでいると見にくくなりやすいので、色使いやレイアウト、フォントの種類、フォントサイズ、アイコンなど、さまざまな要素を見直して少しでも見やすくするのがポイントです。
たとえば、熟年世代の利用が多いサイトであれば、フォントを大きめにするなどの工夫がユーザビリティを高めることにつながります。百の言葉を並べるよりも、1つの表や画像を使用したほうがユーザーの理解を深めることもあります。積極的に表やグラフ、画像などを使うようにすると、見やすくてデザイン性の高いナレッジベースになるでしょう。また、FAQページなどの場合、質問と回答の数が多いと自分の探している情報を見つけにくいものです。
質問をカテゴリーに分けて表示する、質問だけを上部に並べる、質問をクリックすると回答が開くアコーディオン式にするなど、ユーザーが情報を見つけやすくするような配慮も重要です。見やすいナレッジベースにするためには、回答の内容を簡潔にすることが大切になります。結論を最初に述べ、その後に理由を説明するようにすると理解しやすい回答になります。回答の量がどうしても多くなってしまう場合は、別ページに説明書などを用意して、そこにリンクさせるようにすると、使い勝手のよいナレッジベースになるでしょう。
ポイント4:ナレッジベースへの誘導方法
ナレッジベースを作っても、それを見てもらわなければ意味がありません。初めてサイトを訪問したユーザーでも、すぐにナレッジベースを見つけられるようにすることが大切です。まず、サイトの入口となるトップページにわかりやすく表示するのがポイントになります。特に、商品の故障やトラブルなど緊急性が求められる質問については、ユーザーがスピーディーに確認できるようにわかりやすく誘導するのが重要です。
見やすいアイコンにしたり、ナビゲーションメニューで誘導したりするなど、サイトに適した方法でナレッジベースに導きましょう。商品やサービスのページからは、その商品に対する疑問をすぐに解決できるようにナレッジベースに誘導する必要があります。ユーザーが持つ疑問にすぐに答えることで、コンバージョンアップの効果も期待できます。ナレッジベースは売り上げにも直接影響する重要なコンテンツです。ユーザーが、どのページや情報を見て疑問に思うかを意識しながら、適切な位置にバナーを設置するなどして効果的に誘導しましょう。
ポイント5:効果の測定と改善
ナレッジベースを設置したら、それで終わりというわけではありません。情報がいつまでも古いままであったり、時間の経過とともにユーザーのニーズとずれてしまったりしたナレッジベースでは役に立たないものになってしまうでしょう。そのため、ナレッジベースを運用しながら、その効果を測定することが大切です。GoogleアナリティクスやGoogleサーチコンソールなどを利用すれば、ナレッジベースを設置したページのアクセス数やユーザーの属性、検索されているキーワードなどを知ることができます。
ここで得られたデータを見直すことで、ユーザーが本当に必要としている情報や問題点を見つけ出すヒントになります。また、ヒートマップなどのツールを使えば、どの質問が多く見られているのかを把握できるでしょう。そのうえで、実際にナレッジベースが効果を発揮しているのかを分析し、新しい疑問やトラブルが確認されたときには、速やかに反映させることが重要です。前述のポイント1で明確にした目的に沿っているかを踏まえて改善を重ね、ユーザーにとっても、自社にとっても本当に意味のあるナレッジベースにしていきましょう。
ナレッジベースを簡単に作る方法
WordPressサイトの場合は、プラグインを利用してナレッジベースを簡単に作ることができます。ナレッジベースを作ることができるプラグインはいくつかありますが、「Knowledge Base for Documents and FAQs」は、簡単に作れるうえに機能が豊富なのでおすすめです。このプラグインを使用すると、FAQページや用語集が簡単に作成でき、分類して最大3レベルのカテゴリーとサブカテゴリーを作ることもできます。FAQとして表示する記事やカテゴリーを任意の順番や投稿順、アルファベット順で並べ替えることも可能です。
デザインも見やすく設定されており、16種類のカラーテーマから選ぶことができるので、好みのものが見つかるでしょう。有料のアドオンプラグインを利用すると、複数のナレッジベース設定、レイアウトの追加、サイドバーやページにウィジェット表示などの機能を追加することができます。Knowledge Base for Documents and FAQsをインストールするには、WordPressの管理画面にログインし、左カラムの「プラグイン」メニューの「新規追加」を選択します。
表示された「プラグインを追加」ページの検索窓に「Knowledge Base for Documents and FAQs」と入力し、プラグインが表示されたら右上の「今すぐインストール」をクリックしましょう。インストールが正常に完了すると「有効化」ボタンに変わりますので、このボタンをクリックしてプラグインを有効化します。すると、WordPressの管理画面の左カラムに「Knowledge Base」と表示されているのを確認できるでしょう。このメニューの「Add New Article」をクリックして、FAQとして表示する記事を追加していく手順になります。
まとめ
ナレッジベースは作成したら終わりではなく、ユーザーのニーズに合わせて改善して育て上げていくものです。ユーザーの疑問に的確に答え、問題を解決できるナレッジベースであれば、顧客満足度を高めることにもつながります。ナレッジベースを適切に改善するためにもプラグインの利用がおすすめです。情報の追加や編集も簡単にでき、並べ替えにも手間がかかりません。WordPressはプラグインを利用して、さまざまな機能を手軽に追加できるという点が大きな魅力です。
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