WordPressで構築したサイトは動的サイトなので、ページの表示速度が遅くなる傾向があります。WordPressでサイト運営している人のなかには、もっとサイトを高速化させたいと考えている人も多いのではないでしょうか。サイトを訪れるユーザーからすると、ホームページは一瞬で表示されるのが当たり前という意識なので、少しでも待たせるとサイトを離脱してしまうことにもなりかねません。この記事では、サイトの高速化が必要な理由や高速化するための方法などについて紹介します。
目次
なぜサイトは重くなるの?
WordPressには、簡単に記事の投稿ができることや機能を拡張するためのプラグインが充実していることなど、さまざまなメリットがあります。しかし、ページを表示するためには、データベース内のデータを読み込んだり、複数のPHPファイルを読み込んだりしなければならないため、サイトが重いと感じることもあるのです。WordPressサイトが重くなる原因としては、主に次のことが考えられます。まず、画像サイズが大きすぎる場合です。画像のデータが大きいと読み込むのに時間がかかり、サイトを重たくする原因になります。読み込むファイルの数が多かったり、ファイル内に不要な情報があったりする場合もサイトが重くなりがちです。
CSSやPHP、JavaScriptなどのサイズが大きい場合にも読み込むのに時間がかかり、表示速度を遅くしてしまいます。また、プラグインもサイトを遅くする要因となります。インストールするだけで機能を追加できるプラグインはとても便利ですが、なかにはサイトの表示速度に影響するものもあります。プラグインを読み込むのには時間がかかるため、あれもこれもと追加するとサイトを重くする原因になってしまうのです。インストールするプラグインは本当に必要なものだけに絞り、あまり必要としないプラグインは削除するのがおすすめです。
サイトが重くなるとどうなる?
WordPressサイトが重くなってページを表示するのに時間がかかると、サイトを訪れたユーザーはイライラしてしまうでしょう。ストレスを感じて、すぐにサイトを離脱してしまうことにもなりかねません。リピーターとなって再訪問してもらえる可能性も低くなりますし、コンバージョンにも大きく影響するでしょう。表示するのに3秒以上かかると、半数以上のユーザーが訪問をやめてしまうというデータもあります。また、アメリカのAberdeen Groupが2008年に行った調査では、表示速度が1秒遅くなるとページビューが11%、コンバージョンが7%、顧客満足度が16%低下すると報告されています。
さらに、Googleは2018年7月にページの読み込み速度を検索ランキングの指標にすると発表しました。サイトの表示速度は、サイト訪問者のユーザビリティだけでなく、検索エンジンの掲載順位にも影響します。サイトが重くなることが、アクセス数やページビューだけでなく、コンバージョンや顧客満足度の低下にもつながるのです。結果として、売り上げを下げる原因にもなるでしょう。それだけに、WordPressサイトが重くなることはダメージが大きいといえます。
離脱率と直帰率の違い
サイトを訪れた人が途中で離れてしまう割合を示す指標に「離脱率」と「直帰率」があります。この2つの言葉が意味するものは、まったく異なるものですが、混同して使っている人も多いようです。直帰率とは、サイトを訪問した最初のページから他のページに移動することなく離脱してしまったセッションの割合を示します。ここでいう離脱には、「他のサイトに移動する」「ブラウザを閉じる」「何もしないまま30分経過する」などが含まれます。ちなみに、セッションとは訪問回数を表す数字で、サイトに流入してから離脱するまでが1セッションです。
たとえば、1人の人が朝・昼・夜と3回サイトを訪問すれば、ユーザー数は1、セッション数は3ということになります。仮に1日に10件のセッションがあり、6件のセッションがトップページを見た後で別のページも閲覧、残りの4件のセッションがトップページを見ただけでサイトを離脱してしまった場合には「4÷10」で、直帰率は40%ということになります。離脱率とは何ページ見たかに関係なく、そのページを最後にサイトを離脱してしまったセッションの割合を示すものです。
そのため、離脱率は直帰率と違って、各ページごとに「離脱したセッション÷そのページのページビュー」の計算式で求めることができます。仮に、そのページのページビューが10で離脱したセッションが2の場合には「2÷10」で離脱率は20%ということになります。直帰率と離脱率が高まる理由としては、ページの内容や見やすさもありますが、大きく影響するのがページを表示する速度です。サイトが重く表示されるまで時間がかかると、ユーザーはストレスを感じてしまい、サイトを離脱する割合は高まります。
CVRとは
CVRとはコンバージョン率のことで、購入や申し込みなど成果や報酬が発生した割合を示す指標です。コンバージョン率は母数をどの数値にするかで違ってきますが、Webサイトの場合にはセッション数にするのが一般的です。そのため、コンバージョン率は「コンバージョン数÷セッション数」の計算式で求めることができます。たとえば、セッションが100、購入件数が10であれば、「10÷100」でコンバージョン率は10%ということになります。WordPressでサイトを運営し成果を上げるためには、このコンバージョン率を正しく把握することが大切です。
コンバージョン率が、わずか数%違っただけでも売上や利益は大きく違ってきます。Webサイトで成果を出そうとすると、どうしてもアクセス数など「集客」のほうに意識がいってしまいがちですが、売上や利益に直結する「接客」ともいえるコンバージョン率にも注目する必要があるのです。コンバージョン率を上げるための方法としては、サイトの構成やページ内容を見直すことが重要です。トップページから申し込みページまでうまく誘導できているか、ユーザーに商品やサービスの魅力を訴求できているかを見直してみましょう。
また、コンバージョン率をアップさせるために何よりも重要になるのが、サイトのユーザビリティです。サイトを訪れた人は、求めている情報をすぐに見つけることができなければ、すぐにサイトを離脱してしまうでしょう。前述のように、表示速度が1秒遅くなるとコンバージョンが7%低下するというデータもあります。どんなにコンバージョン率を上げるための施策を行っても、表示速度が遅くては意味のないものになってしまいます。まず、WordPressサイトの表示速度改善を最優先で行いましょう。
サイトを高速化する5つの方法
WordPressサイトの離脱率を下げ、コンバージョン率を改善するためには、サイトの表示速度を高めることが大切です。ここでは、サイトを高速化するための5つの方法を紹介します。
1つ目の方法は「画像圧縮」です。画像のファイルサイズが大きいと、読み込むのに時間がかかってしまいます。そのため、画像を圧縮すれば高速化するために効果的です。画像を圧縮する方法としては、プラグイン「EWWW Image Optimizer」を利用するのがおすすめです。画像をアップロードする際に自動で圧縮してくれるだけでなく、過去にアップロードした画像もまとめて圧縮することができます。
サイトを高速化する2つ目の方法は「ソースコード圧縮」です。WordPressサイトでページを表示する際には、PHPやCSS、JavaScriptなどのファイルを読み込んでいます。そのため、これらのファイルを圧縮すればサイトを高速化するのに効果的です。ソースコードを圧縮する方法としては、プラグイン「Autoptimize」がおすすめです。複数のCSSやJavaScriptを結合して1つにまとめたり、余分な余白や改行などを削除したりしてファイルサイズを小さくすることができます。
3つ目の方法は「キャッシュ」を使用する方法です。WordPressサイトは動的サイトであるため、データベースのデータを読み込んでページを表示しています。そのため、HTMLで作られた静的サイトに比べると表示するのに時間がかかってしまうのです。この表示したページのキャッシュを一時保存しておいて、別なユーザーからリクエストがあった際にこのデータを表示するのが、キャッシュを使用した高速化です。いちいちデータベースにアクセスしなくてもすむので、読み込む時間を短縮できます。キャッシュを使って高速化するには、プラグイン「W3 Total Cache」がおすすめです。インストールして有効化するだけで、表示速度を高速化することができます。
4つ目の方法は「CDN」です。CDNとは、コンテンツ・デリバリー・ネットワークの略で、デジタルコンテンツをインターネット上で配信するためのネットワークのことを指します。アクセスが集中してサーバーに負荷がかかると、表示速度は著しく低下してしまいます。CDNは、これを避けるためにキャッシュを複数のサーバーで所有し、ユーザーからリクエストがあった際に、そのユーザーに近いサーバーからデータを提供する仕組みです。このCDNを無料で利用できるサービスに「CloudFlare」があります。サーバーへの負荷を減らして高速化したい人におすすめです。
5つ目の方法が「レイジーロード」です。レイジーロードは遅延読み込みともいわれ、最初にすべての画像を読み込むのではなく、画面をスクロールして画像が表示されそうな段階になってから画像を読み込みます。必要とされる画像しか読み込まないため、表示速度を高速化することができます。レイジーロードを行うためには、プラグイン「BJ Lazy Load」がおすすめです。インストールして有効化するだけで、レイジーロードを実現できます。
テーマを変更してサイト高速化を図る
WordPressでは、どんなテーマを使うかでページの表示速度が違ってきます。テーマのなかには、高速化にこだわって作られているものも多くあります。画像やファイルの圧縮、レイジーロード、ファーストビューのみヘッダーやフッターなどを読み込む機能などが最初から備わっており、高速化するためのプラグインを使用する必要もありません。また、SEO対策機能を備えているものも多く、アクセス数を増やすためにもおすすめです。無料で利用できる高速テーマを紹介しましょう。
「Cocoon(コクーン)」は、スマホやタブレットでも最適化して表示させるレスポンシブデザインで、Googleのモバイルフレンドリーにも対応したテーマです。カスタマイズしやすいのも特徴で、SNSのシェアボタンやフォローボタンなど拡散のための仕掛けも施されています。
「Luxeritas(ルクセリタス)」も表示速度の速さにこだわったテーマです。SEO最適化済みで、テンプレートで1~3カラムが選べるなどカスタマイズ性にも優れています。高機能なテーマで、プラグインをインストールしなくても、さまざまな機能を利用することができます。
「Godios(ゴディオス)」も表示速度の速さで有名なテーマです。ページを移動した際は、新しいコンテンツ部分のみを読み込むという手法で、体感ページ遷移速度ほぼ0秒を実現可能にしています。画像のレイジーロードにも対応しており、管理画面で設定を切り換えることができます。
ここで紹介したテーマは、いずれも高速であるだけでなく、無料とは思えないほどの機能を備えたものばかりです。現在使っているテーマの表示速度に不満を感じていたら、テーマの変更を検討してみるのもよいでしょう。
サイト高速化を妨げる要因
WordPressサイトの高速化を実現するためには、まず何が高速化を妨げているのかを知ることが大切です。高速化を妨げている要因としては、次のものが考えられます。まず、データベースに不必要なデータがあると、表示速度は遅くなります。WordPressサイトを運用していくと、データーベースのデータはどんどん増えていきます。データベース内のデータ量が増えれば、必要なデータを探して読み込むのに時間がかかるので、速度が低下してしまうのです。そのため、不必要になったデータは削除して、できるだけ軽くしたほうが高速化につながります。
データベースのインデックスが使われていない場合も、サイトの高速化を妨げる要因になります。データベースのインデックスは、いわば本の索引のようなものですが、インデックスを設定することで高速化が可能です。インデックスがきちんと使われているかチェックしてみましょう。SQLが最適化されていないことも、高速化を妨げる要因になります。データを取得する段階で使用するSQLが最適なものになっていないと速度に悪影響を及ぼすので、無駄になっている箇所がないか見直すことが大切です。キャッシュを活用していないことも高速化を妨げる要因です。データベースは読み込まれる回数が増えると速度は遅くなります。固定化されているデータをキャッシュデータにして、データベースを読み込む回数を減らすと高速化につながります。
まとめ
WordPressは動的サイトであるため、どうしてもページの表示速度が遅くなりやすい傾向があります。表示速度はサイトの離脱率やコンバージョン率に直結します。サイトを訪れたユーザーが少しでも遅いと感じたら、売り上げに悪影響を及ぼすことにもつながりかねません。この記事で紹介したプラグインやテーマなども活用して、サイトの高速化を図りましょう。
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