WordPressのコメント機能は、単に感想や意見を書き込むためだけのものではありません。ユーザーとのコミュニケーションを図る有用なツールでもあるのです。ユーザーとのつながり、いわゆるエンゲージメントは企業にとって非常に重要な要素です。リスクを回避するためにコメント欄を設置しないケースもありますが、有益性をしっかり把握してから設置の是非を判断するべきでしょう。この記事では、ユーザーとのエンゲージメントを高め、リスクを減らすことのできるコメントプラグインを5つ紹介します。
目次
エンゲージメントとはなに?
エンゲージメントは「実行」「契約」「約束」「関与」などさまざまな意味を持つ英単語ですが、マーケティングでは「ユーザーが企業や商品に対して愛着を持った状態」というような意味合いで用いられることが多くなっています。その意味では「好意」や「つながり」といった解釈の方が適切かもしれません。ユーザーとの結びつきが強いことを「エンゲージメント率が高い」と表すこともあります。愛着を持ってくれるということは、それだけ商品やサービスに対する信頼度も高いものとなるため、企業の存続・発展には不可欠な要素となります。
WEBサイトは利便性と発展性の高いツールですが、漫然と運営するだけでは商品の売上を維持することはなかなか難しく、いかにユーザーにファンになってもらうかがポイントになってきます。実店舗のように人と人が実際に対面する機会があれば、その頻度だけ親近感も高まりエンゲージメントも上げることができます。しかし、インターネット上では顔が見えないため、顧客とのつながりを構築するのが対面での商売ほど容易ではありません。したがって、WEBサイトでエンゲージメントを上げるためには、積極的な工夫と取り組みが大切になるのです。
コメント欄でエンゲージメント率を上げる
単にフォロワー数を上げるたり会員登録数を増やしたりするだけではユーザーと結びつきが強まったとは言えません。ユーザーにとってハードルの低い行動は、あまりエンゲージメントが高い状態でなくても起こりうるからです。SNSのフォロワーが何千人、何万人といても製品のセールスやセミナーの案内に反応するのは数人だけというケースもよくあります。業績向上のために大切なのは、無闇やたらと見込み客を増やすことではなく、どれだけユーザーと親密な関係を築けるかにあるのです。
たとえば、記事の発信に対して実際にコメントをどれだけくれるか、SNSであれば「いいね」をどれだけもらえるかでエンゲージメント率は左右されます。Webサイトの場合、特にコメント欄はエンゲージメントを高める重要なツールとなります。なぜなら、コメントは手間のかかる行動のため、よほどエンゲージメントが高くない状態でないと発生しないからです。数少ないユーザーとの接点にもなるなど、コメント欄はエンゲージメント率の測定と改善に資する絶好のツールと言えるでしょう。
コメント欄をプラグインで設定する理由
WEBサイトにコメント欄を設置する際は、プラグインを利用することをおすすめします。SNSの連携などさまざまな機能が使えるようになり、非常に便利です。また、スパムコメントといった運営側にとっても他のユーザーにとっても不快になるようなコメントを効率的に排除することもできます。WEBサイトのコメント欄を利用するすべての人にとって、プラグインは使い勝手と有益を高める必須のツールとなるでしょう。次段からは、コメント欄のカスタマイズに役立つプラグインを紹介しますので参考にしてください。
コメントプラグイン1「Ultimate Facebook Comments」
コメントプラグインにはたくさんの種類がありますが、まず紹介したいのは「Ultimate Facebook Comments」です。このプラグインを導入することで、プラグイン名にもあるようにFacebook アカウントを使用してコメントを投稿できるようになります。コメント欄をFacebookコメントにすると、アカウントと紐付けられるため誰がコメントをしたのか明らかになります。匿名でネガティブなコメントや悪質な誹謗中傷を行うといったことを防止できます。したがって、通常のコメント欄を設置するよりもコメント全体の質を上げられる効果を期待できます。コメントの質はWEBサイト全体の質にも関わってくるため非常に重要な要素です。
また、Facebookコメントには「Facebookにも投稿」というチェックボックスが付いており、これにチェックを入れた状態でコメントを投稿すると投稿者のFacebookにもコメントが反映されます。これにより記事の拡散を狙えるという点も大きなメリットとなるでしょう。ただし、Facebookと連携するには「facebook for developers」というサイトでFacebook App IDを取得する必要があります。取得自体に料金がかかったり大きな手間を要したりするものではありませんが、プラグインを導入しただけでは機能しない点は押さえておきましょう。
コメントプラグイン2「Replyable」
「Replyable」は、メールでコメントの返信ができるようになるプラグインです。 導入することで、訪問ユーザーが投稿したコメントに返信があった際、そのユーザーは自身の投稿に返信があった通知をメールで受けることができ、さらにその返信に対してそのままメールで応答ができるようになります。通知を受け取るかどうかはユーザーで選択することが可能です。通知を受け取ることで返信に気付きやすくなり、さらにメールでやり取りができるようになる分手間が減るため、WEBサイト上での交流が活発になりエンゲージメントを高める効果が期待できます。
記事内でのやり取りが深いものになれば、思わぬ情報を獲得できるような貴重な機会も増えるでしょう。また、コメント欄の状況はSEOにも影響を与えます。活発なやり取りが行われているWEBサイトほど検索エンジンは評価する傾向にあるのです。したがって、このプラグインを導入することで、エンゲージメントだけでなくドメインパワーの向上も見込めるようになります。
コメントプラグイン3「Spam Destroyer」
WEBサイトにコメント欄を設置する際、最も危惧しなければならない点がスパムコメントによる被害です。スパムコメントとは、主にプログラムによって大量に送られる営業や誹謗中傷コメントのことで、自社のWEBサイトが標的になってしまうとコメント欄の質が一気に低下してしまいかねません。これを懸念してコメント欄を設けないWEBサイトやブログも多くなっています。
スパムコメントへの対処法として、コメントを承認制にしたり逐次コメントを削除したりする方法がありますが、ユーザビリティが低下したり余計な労力がかかってしまったりするといった問題があります。これを解決できるのが「Spam Destroyer」というプラグインです。このプラグインを導入するだけで自動的にスパムコメントを振り分けて排除してくれます。細かい設定も不要なので便利です。
コメントプラグイン4「Simple Comment Editing」
コメントプラグイン「Simple Comment Editing」の最大の特徴は、コメント投稿者自身がコメントの編集や削除が可能なことです。コメントを投稿する際の最大のハードルは、一度投稿してしまうと修正ができないことでしょう。誤字や脱字はもちろん「意図したことをしっかり伝えられないのではないか」「批判をもらうのではないか」といった心配から最後に送信ボタンが押せないという人も珍しくありません。過去にそのような経験があればなおさらでしょう。しかし、それでコメント欄が活発にならないのは企業側にとっては機会損失となってしまいます。そこで、おすすめしたいのがこのプラグインです。基本的にコメントの編集はサイト運営の管理者しかできませんが、「Simple Comment Editing」を導入することで、コメント投稿者は間違えて投稿してしまった場合や手直しをしたい場合、投稿後5分間は編集と削除ができるようになります。インストール後に有効化するだけで自動的に機能するため、特に手間をかけずに実装できるのも嬉しい点です。
コメントプラグイン5「Yoast Comment Hack」
「Yoast Comment Hack」はコメント投稿者に対して積極的なセールスやコンバージョンを仕掛けたいときに役に立つさまざまな機能が搭載されたプラグインです。まず挙げられる機能が、コメントを投稿した人を固定ページへのリダイレクトができるように設定できる点です。リダイレクトとは、ある操作を行ったユーザーを任意のページへ誘導するシステムのことを指します。この機能を使えば、コメントを投稿するようなエンゲージメントの高いユーザーに対して、コメントのお礼をするとともにおすすめの商品やサービスを紹介するページへ誘導することが可能です。質の高い見込み客に対してセールスを行うわけですから、高い確率で購入や成約につなげることができるでしょう。
また、同じ記事にコメントを投稿したユーザー全員に一括でメール送信ができる機能も秀逸です。この機能を利用することで、同じ商品に興味を持っている人をコメントから割り出して商品やサービスの案内メールを送ることができます。メールを送られたユーザーとしては、自分に興味のある商品をピンポイントで案内されることになるため、「自分のことをよく知ってくれている」と親近感が湧きエンゲージメントの向上につながるでしょう。もちろん商品購入にも期待が持てます。
コメントプラグイン6「Jetpack」
「JetPack」は、その名の通りSEO対策やアクセス解析、セキュリティ強化など30種類以上もの機能がパッキングされた高機能プラグインです。コメント欄に関する機能だけをとっても、さまざまなカスタマイズを行うことができます。特に、1つのプラグインでスパムコメントの除去とSNSとのアカウントを連携ができる点は大きなメリットです。スパムコメントを自動的に排除することで迷惑なコメントにわずらわされることもなくなり、また、Facebookコメントを実装することで匿名コメントにありがちな無責任な批判や誹謗中傷コメントを減らすことができるでしょう。
プラグインは便利なものが多くたくさんの種類を導入したくなってしまいますが、多くのプラグインを導入するほどサーバーに負荷がかかってしまいます。その結果、サイトの表示速度を低下させてしまう可能性もあるのです。また、プラグイン同士が干渉し合って不具合を起こしてしまう危険性も無視できません。その点、1つのプラグインで複数の機能を備えた「Jetpack」であれば、そういったリスクを抑えつつ有益な機能を存分に活用することができるでしょう。
コメントプラグイン7「Akismet Anti-Spam」
「Akismet Anti-Spam」は、その名の通りスパム対策に強いプラグインです。スパムだと判断されたコメントを自動的に振り分けてくれ、運営者はどのコメントがスパム認定されたのかを確認することができます。WordPressにデフォルトでインストールされていて信頼性については非常に高く、世界中で利用されているプラグインです。有効化するには、公式サイトで登録しAPIキーというものを取得する必要がありますが、WordPressの管理画面から誘導してくれるので迷うことはないでしょう。
また、サイト内の表記は英語ですが、さまざまな日本のWEBサイトで導入の方法が解説されていますので自信がない人でも問題ありません。APIキーの取得時に有料プランと無料プランが表示されます。商用の場合は有料プランに申し込む必要がありますが、個人サイトであれば無料プランで問題ありません。スパム対策では優先してお進めしたいプラグインの1つです。スパム対策を第一に考えている人や迷惑なコメントで困っている人には特に向いています。
コメントプラグイン8「Disqus」
「Disqus」はコメント機能に特化していて、世界中にユーザーのいるプラグインです。FacebookやTwitterなどSNSとの連携が可能なため、コメント欄のクオリティ保持と拡散効果を狙うことができます。また、画像を添付したコメントを投稿できるため、ユーザーと運営者、あるいはユーザー間でのスムーズかつ内容の濃いコミュニケーションが可能です。コメント欄が活発になれば、事業活動において貴重なユーザーの声が手に入りやすくなると同時にSEO効果をも見込めるでしょう。
また、独自のアルゴリズムによるスパム除去システムによって、コミュニケーションを妨げる悪質なコメントを排除できる上、スレッドのシェアなどコメントのやり取りが楽しくなる、さまざまな機能を利用することができます。自社のWEBサイトに、コメント欄のレベルを超えたユーザビリティの高いコミュニケーションツールを実装したいなら「Disqus」がおすすめです。
まとめ
スパムを警戒してコメント欄を設けない、あるいはただなんとなくコメント欄を設置しているという人は多いでしょう。しかし、プラグインを活用して機能をアップさせることで、コメント欄はエンゲージメントと売り上げの向上に大きく貢献してくれる武器となります。しっかりと対策を取れば、リスクも最小限に抑えることができるでしょう。
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