WordPressを活用すると、さまざまなコンテンツを効率よく管理できるようになります。そのため、WordPressを使ってネットショップを起ち上げたいと考えている人も多いのではないでしょうか。WordPressというと、どうしてもブログシステムというイメージが強いのですが、ECサイトを構築することも可能です。受注管理や商品管理も行えるネットショップ用のプラグインも用意されています。この記事では、WordPressを使ったネットショップの作り方やネットショップの事例を紹介します。
目次
WordPressを使用してネットショップの立ち上げは可能?
ブログや企業サイト、ニュースサイトなどに利用されることの多いWordPressですが、ネットショップも作成できます。WordPressを活用しながらプラグインで機能拡張すれば、高機能なネットショップを構築することが可能です。特に人気のプラグインは「WooCommerce」で、このプラグインを使って運営されているネットショップは世界中にたくさんあります。ゴルフクラブやゴルフ関連商品を販売している「三浦技研公式オンラインショップ」もWooCommerceを使って運営されているネットショップです。
「ウッド」や「アイアン」など、商品の種類別にカテゴリー分けされ、目的の商品が見つけやすい構成になっています。オプション選択やカスタマーレビューなど、ネットショップならではの機能も搭載されています。デニムアイテムを扱っている「京都デニムのオンラインショップ」もWooCommerceを使ったサイトです。一般的なメンズ、ウィメンズのデニムアイテムの他にも京友禅を施したカスタムオーダーが受注できる仕組みになっているのが特徴です。原宿にあるクッキー専門店「クッキータイムのオンラインショップ」もWooCommerceを使って運営されています。ポップなデザインが特徴で、クーポン適用やユーザーレビュー、マウスオンでの商品画像拡大などの機能も充実しています。
WooCommerceとは?
WooCommerceは無料で利用できる電子商取引のプラグインです。高機能で利便性が高いため、世界中のユーザーから人気があります。WooCommerceは、WordPress開発元であるAUTOMATIC社が開発を主導しており、WordPressと同様にオープンソースであるため、誰でも開発に参加できます。そのため、セキュリティや他のプラグインとの相性などについても、世界中の開発者が参加することで、完成度の高いプラグインにできるのです。WooCommerceをインストールして簡単な設定を行うと、WordPressサイトで商品が販売できるようになります。
無料でありながら、商品登録や商品ページの作成、決済方法や送料設定、ショッピングカート、受注管理など、ネットショップを構築するために必要な機能をすべて揃えているのが特徴です。ダウンロード販売の機能も備えており、物販だけでなくデータ販売にも対応できます。また、人気が高いだけにWooCommerceに対応したテーマが充実しているのも大きな魅力です。デザインの種類も豊富なので、求めているイメージに合ったテーマが見つかるでしょう。レスポンシブデザインのテーマを利用すれば、スマホやタブレットにも簡単に対応できます。特に有料テーマのなかには高機能なものも多く、ドラッグ&ドロップするだけでネットショップが構築できるものもあります。
WooCommerceの世界シェア
WooCommerceが誕生したのは2011年ですが、その便利さが支持されてユーザー数を爆発的に伸ばしました。2017年9月には、アクティブインストールの数が約300万サイトにもなっています。世界のネットショップの約3割が、WooCommerceを使って運用されているというデータもあります。日本でのユーザー数は、まだ多いとはいえませんが、これからどんどん増えていくでしょう。WooCommerceの魅力として、自由度が高いことが挙げられます。一般的なショッピングカートの場合、さまざまな制約があり、自由にネットショップを作ることができません。
たとえば、オプションの種類を3種類にしたいが2種類までしか使えない、のように細かな部分でカスタマイズできないことも多いのです。しかし、WooCommerceはWordPressを使うため、デザインも自由に変更でき、機能もカスタマイズできます。希望どおりのネットショップを作れるのが、人気の理由といってもよいでしょう。また、WooCommerceは、年商10億円の大規模なネットショップから商品が数点しかない小さなネットショップまで、その規模に関わらず利用することができます。オープンソースであるため機能の拡張性も高く、どんなビジネスであっても対応可能です。WooCommerceのシェアは今後ますます高まっていくことが予想されます。
【メリット】1.拡張機能(アドオン)が豊富
拡張機能(アドオン)が豊富なのも、WooCommerceのメリットです。オープンソースであるため、さまざまな拡張機能を利用することが可能です。たとえば、オプションの種類を増やす、バンドル商品を販売する、ライセンス商品のアクティベーションを管理する、などもアドオンプラグインを活用すれば簡単にできるようになります。ここでは、WooCommerceの機能を拡張する代表的なアドオンプラグインを紹介します。
【メリット】2.定期課金できるプラグイン
「WooCommerce Subscriptions」は定期課金を可能にするプラグインです。ビジネスに定期課金システムを導入すれば、安定した売り上げが見込めるようになり、収益性も大幅にアップします。一般のショッピングカートの場合、定期課金に対応したものは多くありませんし、課金日が1種類しか設定できないなど、柔軟性に欠けるものが多いでしょう。しかし、WooCommerce Subscriptionsなら、柔軟性の高い定期課金システムを構築できます。WooCommerce Subscriptionsを導入すれば、健康食品や美容商品など物販の定期購入、毎月の会員費、クラウドサービスのサブスクリプションなどにも対応できるようになります。無料トライアルから定期課金に移行させたり、有効期限を設定したりすることも可能です。
課金のタイミングについても、ネットショップの都合に合わせて、複数のスケジュールを設定できます。定期課金でネックになるのが、管理の面倒さです。会員への連絡や請求書発行、入金の確認などが負担になるでしょう。WooCommerce Subscriptionsは請求書や領収書の発行も自動で行うことができ、支払い方法もさまざまなサービスと連携できるので、面倒な手間を必要としません。レポート機能も搭載しており、アクティブな加入者数や経常収益も一目で把握することができます。WooCommerce Subscriptionsを利用すれば、大きな手間をかけなくても定期課金を始めることが可能です。WooCommerce Subscriptionsを活用して定期課金ビジネスを行えば、大幅な業績アップも期待できるでしょう。
【メリット】3.来店予約決済できるプラグイン
「WooCommerce Bookings」は、来店予約決済を可能にするプラグインです。サイトに柔軟な予約決済システムを導入するのは簡単ではないでしょう。しかし、WooCommerce Bookingsを利用すれば、WooCommerceにカスタマイズ性の高い予約機能を追加できます。宿泊施設やレストランはもちろん、美容サロンやエステサロン、ヨガ教室などでも利用することができます。また、フォトスタジオやレコーディングスタジオなど、レンタル系のサービスにもおすすめです。予約状況はカレンダー形式またはリスト形式で表示でき、見やすい設定になっています。設定も簡単で、予約可能な時間帯を設定しておき、お客様に選んでもらうことができます。
宿泊施設やレストランのように複数人で予約されることが多いビジネスにも対応しており、何人での予約なのかも把握可能です。また、宿泊施設向けの機能も強化されており、複数日の予約や週末や祝日に特別料金を設定することもできます。予約が入ると、すぐにメールで通知するように設定できるので、入った予約を見逃してしまうようなこともありません。管理画面もわかりやすく、直感的に作業できるようになっており、予約状況の管理やフィルタリングを簡単に行うことができます。WooCommerce Bookingsを活用すれば、予約管理の省力化ができるだけでなく、予約しやすいサイトになって、集客増も期待できるでしょう。
【メリット】4.有料会員制サイト制作のプラグイン
「WooCommerce Memberships」は有料会員制サイトを運営する際におすすめのプラグインです。一口に有料会員制サイトといっても、さまざまなビジネスがあるでしょう。コンテンツ販売や物品を販売するショップ、ファンクラブのような有料会員制など業態もいろいろです。また、会員にランクを設けるのも一般的ですし、当然ランクによって会費の金額も変わってきます。このような複雑な有料会員制に対応できるシステムを導入するのは、簡単なことではありません。
しかし、WooCommerce Membershipsであれば、さまざまな有料会員制ビジネスに柔軟に対応することができます。WooCommerce Membershipsを利用すると、商品を購入できるのは会員だけ、会員割引、会員のみ送料無料のような設定も簡単に行うことが可能です。会員は自分のマイアカウントページにログインし、自分で情報を管理・変更でき、会員ランクのアップグレードなども行えます。有料会員制サイトを運営するうえで、負担になるのは会員管理にかかる労力でしょう。
WooCommerce Membershipsなら、有効期限が迫ったら更新通知メールを送る、アップグレードを促すための案内メールを送るようなことも、自動的に行うように設定できます。CSV形式のファイルをインポートできますので、エクセルなどで会員管理している場合は、新たに会員登録しなくてもすぐにWooCommerce Membershipsに移行可能です。WooCommerce Membershipsを活用すれば、会員管理の手間を大きく減らせるだけでなく、会員のロイヤリティを高め、収益アップにつなげることができます。
【デメリット】1. 個人情報が流出するリスク
WooCommerceは世界中にユーザー数が多いうえにオープンソースであるため、不正アクセスのターゲットになりやすいという側面があります。そのため、WooCommerceで構築したネットショップを運営している場合、ハッキング被害によって個人情報が流出するリスクがあることも否定できません。顧客や会員の個人情報が流出するような事態になれば、信頼を失うだけでなく、企業にとって致命的なダメージを受けることになります。WooCommerceはオープンソースであるがゆえに、セキュリティホールがみつかったら、すぐに修正されるというメリットもあります。WooCommerceやWordPress本体はもちろん、他のプラグインも常に最新のものを使用して、不正アクセスからサイトを守りましょう。
個人情報が流出するのはサイトからだけとは限りません。過去の事例をみても、社内や管理を依頼している取引先からの流出が多いのです。JNSAが発表した「2016年情報セキュリティインシデントに関する調査報告書」によると、個人情報流出の原因で多いのが、管理ミス34.0%、誤操作15.6%、不正アクセス14.5%、紛失・置き忘れ13.0%の順になっています。情報流出の原因で最も多い管理ミスの背景としては、情報セキュリティに関する意識が欠けている、情報管理のルールが徹底されていない、属人的な情報管理が挙げられます。そのため、個人情報の取り扱いについては厳しいルールを設けるなど、徹底して管理することが必要です。
【デメリット】2.サイトが改ざんされるリスク
WooCommerceは不正アクセスのターゲットになりやすい側面があるため、サイトが改ざんされてしまうリスクもあります。改ざんされてネットショップが機能しなくなれば、その間の売り上げを失ってしまうことになります。WooCommerceはWordPressのプラグインですので、WordPressのセキュリティ対策をしっかりと行うことが必要です。まず、WordPressやプラグイン、テーマは最新版のものを使うことが大切になります。
WordPressに脆弱性がみつかると、すぐにセキュリティ対策としてバージョンアップが行われます。古いバージョンをそのまま使っていると、不正アクセスのリスクが高まりますので、面倒がらずに、常に最新版を使用しましょう。セキュリティ関連のプラグインを利用するのも、不正アクセスを防ぐために効果的です。プラグイン「SiteGuard WP Plugin」を使用すれば、ログインページでの画像認証、ログインがあった際のメール通知などの機能によって、ログインページからの不正侵入を防ぐことができます。
また、プラグイン「All In One WP Security & Firewall」を利用すれば、サイト全体のセキュリティ状態を把握でき、WordPressサイトにファイアウォールを設置して、不正アクセスからサイトを守ることができます。どんなにセキュリティ対策を行っても、リスクをゼロにすることはできません。そのため、万が一に備えてバックアップを取っておくことも大切です。こまめにバックアップを取っておけば、サイトが改ざんされてもすぐに復旧させることができます。
まとめ
プラグインWooCommerceを利用すれば、WordPressを使ってネットショップを構築することが可能です。WooCommerceは世界中で人気が高く、ユーザーも多いためテーマやアドオンプラグインが充実しているというメリットがあります。その反面、ユーザー数が多いゆえに、不正アクセスのターゲットになりやすいというデメリットもあります。WordPressでネットショップを運営する際には、このメリットとデメリットをしっかりと理解しておくことが大切です。
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